第31回大会テーマ:
改めて考える「体育における多様性の包摂」と今後の体育授業の在り方
次期学習指導要領の改訂の作業が進む中、令和7年9月の中央教育審議会における教育課程企画特別部会(2025)においては、改訂論議を貫く3つの方向性として「生涯にわたって主体的に学び続け、多様な他者と協働しながら、自らの人生を舵取りすることができる、民主的で持続可能な社会の創り手を『みんな』で育むため、 ①『主体的・対話的で深い学び』の実装(Excellence) ②多様性の包摂(Equity) ③実現可能性の確保(Feasibility) の3つの方向性」が示された。また、これらの方向性に基づく改善は、教育課程内外のあらゆる方策を用いつつ、三位一体で具現化されるべきものとされている。
なかでも、②多様性の包摂については、多様な個性や特性、背景を有する子供が多くなっている実態に向き合うとともに、こうした多様性を個人及び社会の力に変える観点から、一人一人の意欲が高まり、可能性が開花し、個性が輝く教育の実現を目指すものとされている。これらは、①「主体的・対話的で深い学び」の実装を目指す第一の方向性と両立させることが不可欠な第二の方向性であるともされている。このため、「調整授業時数制度」の創設、学年区分の取扱いの柔軟化、不登校児童生徒等への特別の教育課程編成を可能とする制度の創設等により、教育課程全体を包摂的な仕組みに改め、その具現化を図ることが目指されることが想定される(中央教育審議会、2025)。
これまで体育科・保健体育科(以下、「体育」)においては、共生社会の実現を目指して、男女共習による授業やアダプテッドの視点を取り入れた授業、運動が苦手な児童生徒への指導の改善等、様々な手立てを講じながら体育授業が取り組まれてきた。しかし、より一人一人の個性や特性、背景を踏まえた対応が可能な仕組みを体育授業で実現していくために、多様な個性や特性にどのように向き合い、公正性(equity)を拡大していくのかについて、本学会においての議論が必要であると考えた。
そこで、本シンポジウムでは、これまで本学会でも扱ってこなかった日本語を母国語としない児童生徒、へき地・小規模校の児童生徒、並びに通常学級に在籍する障がいのある(またはその可能性がある)児童生徒を対象とした体育の授業にはどのような障壁があるのか、加えて、そのような子どもたちに存在する運動・スポーツ格差等の多様性はどのように包摂されるのかといった視点から、改めて今後の体育授業の在り方を議論したい。そのため、「体育における多様性の包摂」をテーマとして取り上げ、シンポジウムを開催することとした。
(参考資料)中央教育審議会(2025)教育課程企画特別部会.論点整理(素案).
https://www.mext.go.jp/content/20250904-mxt-kyoiku-000043994_03.pdf.












